『健康に死ぬために』
商経アドバイス
｢歯科医師：鈴木公子氏講演｣より抜粋報告
テーマ① 米飯給食の完全実施を ～子供を和食好みに“洗脳”～
テーマ② 健康に死ぬために ～和食
何でもよく噛み食べる～
テーマ③ 健康のために米を売る
～唾液は酵素の豊庫～
テーマ① 米飯給食の完全実施を ～子供を和食好みに“洗脳”～
ある５０歳代の女性は、歯磨きをすると血が止まらなくなり｢なにか
変な病気にでもなったのか？｣と心配で来院してきた。実はこの人
は前にも来院した事があって、歯も歯周病も全て治し、きれいな状
態だったのに、また歯肉がただれていた。
原因は分かった。最近全国のこの年代の女性は、テレビ等の健康
情報番組を真に受けて実践している例が多い。この女性の場合は
町内の健康診断の結果、高脂血症、高血圧、高コレステロールで、
｢明日にでも心筋梗塞で倒れてもおかしくない。早く痩せて下さい｣と
診断されたという。驚いたその女性が、どうしたら痩せられるのか友
人に相談した所、その友人は｢ご飯をやめたら？。美味しくて、つい
食べ過ぎちゃうから｣。その女性はそれを信じて２年間、１度もご飯を
食べなかったのだという。
｢で、痩せたの？｣と聞くと、｢それがもっと太ってるんです｣。この場合
の治療はというと、『食事を完全に和食に切り替えるだけ』。これで、
歯茎から出ていた血は１週間で止まった。
なぜ、和食は素晴らしいか。まずパン食の場合は、粉食なので非常
に歯を汚しやすい。さらに、作った人なら分かると思うが、必ず砂糖
が要る。含水分が非常に低いので、そのままでは飲み込めない。米
は塩おにぎりだけでも十分美味しく食べられるが、パン食ではコーヒ
ーやジュースなどが要り、塗るのはバターなど。付け合わせはハムエ
ッグやサラダ等、皆油が必要なものばかり。つまり、油がないと飲み
込めないような主食だから、脂肪やカロリーの高い食事となる。
こう話すと、｢欧米の人はどうなの？｣という質問が必ず出る。特に米
国はいま、とても困っている。州によっては８５％の人が｢肥満｣で、さ
らにその半分以上が｢超肥満｣。いま一番流行っているのが、胃の切
除手術だ。１０万人が受けているといわれる。和食の良さは欧米でも
認められつつあるが、肝心の日本ではその認識が薄く、朝昼晩に世
界各国の食事を摂っている。だから、せめて皆さんは、一般の人にご
飯食の良さを伝えてほしい。
ところが、どんな会場に行っても、講演を聴講に来てくれる人は食に関心がある人で、変な食事を
子供に与えて平気な親などは来ない。だから、子供たちを助けるには、関心のない両親では無理
という事もわかった。そこで幕内先生と考えたのが『学校給食を完全米飯化しよう』という事だった。
幼稚園、小学校、中学校の長い１２年の間に、徹底して給食にご飯を出す。子供は９歳までに、和
食の美味しさ・香りを覚えさせると、一生食べ続ける。子供の将来のため、和食好みに“洗脳”して
しまおうというものだ。
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テーマ② 健康に死ぬために ～和食 何でもよく噛み食べる～
人間の歯で、前歯は｢切歯｣という。これは、野菜を切る役割をする
歯のためだ。奥歯は｢臼歯｣といい、人間には最も多く、穀物を擦り
つぶす。だから牛や馬に近く、いつもむにゃむにゃと噛むように出
来ている。
健康な人の歯は、年を取っても弱らない。前歯などは、よく噛んでい
るため、擦切れてナイフのように尖っている。こうした人に健康法を
聞くと、｢和食なら何でも食べる｣と共通して言う。それも、肉好きより
は魚好きが多く、特に干物など骨ごと食べる例が多い。
あるおじいちゃんは、９２歳で亡くなるまで、自分の３２本の歯を１度
も治療した事がなかった。亡くなる前日まで畑に出て働き、１度も医
者にかかる事がなかったし、薬も飲まなかった。健康法を聞くと、食
卓に載ったものは何も残らないようにすることで、たとえ『鯛のお頭
付き』でもそうだという。それぐらいよく噛み、歯を守る事が、いかに
全身の健康につながるかという事の証明だろう。
そのおじいちゃんが亡くなった時、家族の人が涙ながらに、教えてきてくれた。｢亡くなりました。元気で・・・｣。
それを聞いた時、人間は長生きするためにではなく、健康に死ぬために頑張っているのではないだろうか、
と思った。“健康で死ぬ”という事は多分、人間にとって最高の最期だ。そのためには、常に健康でなければ
いけない。私は在宅診療で往診する機会も多い。そこでは寝たきりのまま、１０～２０年も生き続けているお
年寄りの例がある。それで本当に幸せだろうかと、考えずにはいられない。
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テーマ③ 健康のために米を売る ～唾液は酵素の豊庫～
３つ、どうしても覚えてもらいたい物がある。人間や動物が中毒になっ
てしまう物。これを食べたらどんどんやめられなく“麻薬”のような物だ。
１つは、白砂糖。これはかつて精神安定剤、つまり薬として用いられた。
食べると脳に酸素が届きやすくなり、非常に気持ちが良い。だから、食
べれば食べるほど、もっと欲しくなる。小さい子供を白砂糖にならしてし
まうと、絶対にやめられなくなる。
２番目は油。３番目は化学調味料、合成アミノ酸だ。アミノ酸はもともと
体に必要なものだが、合成品はものすごく“うまみ”として感じてしまう。
スナック菓子などは、その最たるものだろう。どうしても食べたくなるよ
うな絶妙なバランスで、砂糖と油と化学調味料を調合している。なんと、
ミルクにも化学調味料が入っている。
なぜ、噛まなければいけないのか。噛むと出る唾液。１日に出る量は
１．５～１．８㍑。１升瓶に１杯分だ。唾液は血液からできている。ほっ
ぺの下の耳下腺やあごの下の舌下腺などの組織に血液が集まって、
そこでろ過され出てきている。だから唾液の中には、同じように酵素が
沢山入っている。消化酵素、悪い物が入ってきた時に解毒する酵素、
バイ菌をやっつける、キズを治す・・・等の成分が皆入っている。
唾液に３０秒間、発ガン性物質を浸しておくと、その発ガン性が無くなる
事が、医学の世界では随分前に発表されている。幕内先生は長く、末
期ガンの方の食事指導もされているが、女性の乳ガンがものすごく増
えてきている。とりわけ２０～４０歳代の若い世代で激増しているという。
そんな人の食事を調べると、１日に１度もご飯（コメ）を食べてない例が
少なくないのだという。炊飯器を持っていない若い人も多い。
こんな状態だから、私達米穀店は自分だけでなく、｢子供たちや若い世代、日本全体が健康になり、
病気を減らしていくためにおコメを売っているのだ｣という意識を持って、がんばっていきたい。
